リーダーシップとマネジメント(4)「中間管理職が組織編成において考えなくてはいけないこと」
以上、マネージャーに求められる最低限の基本条件を述べました。
ただ、基本条件をマネージャーに満たしてもらうためには、マネージャーのさらに上の上司の皆さんに考えてもらわないことがあります。マネージャーが部下の仕事を理解すると言っても限界があるということです。例えば、20人の部下がまったくフラットに下についた状態があったとします。20人分の仕事の量を想像しただけで、いくらスーパーマンのようなマネージャーでも全員の仕事を把握するのは不可能であることはわかるでしょう。ちょっと極端な例をあげてしまいましたが、これは業種によって異なると思いますが、部下の仕事がすべて異なっている場合で考えると、経験的に言えるのは5、6名程度までが限度ではないかと思います。7、8名の部下を抱えてうまくやっているマネージャーもいますが、その場合は少なくとも2、3人の部下は全く手のかからない部下、実務能力としてはマネージャーと同等程度にできる部下がいる場合です。時にはマネージャーの代行が務められる部下がいるような場合です。部長のような立場の人は、組織の最小単位が大きくなりすぎていないか、大きくなっていた場合には、構成している人材をよく調べ、全く手のかからない部下がそろっているかなどの吟味を十分にする必要があります。もしそのような条件が整わなければ、大きくなっている組織は2階層にするか、2つの組織に分けるなどの編成が必要です。
逆に、2、3人程度の組織単位を作ることがあります。この場合でもマネージャーは設置しますが、こういう場合は嫌でもマネージャーは部下の仕事の把握はできます。マネージャーはプレイングマネージャー(担当実務をもっているマネージャー)になっているはずで、部下と実務レベルで連携しますし、仕事自体には深く入り込むことになりますから、部下とは多少実務の内容は異なっていても実務への理解は実務をもたないマネージャーに比較すると理解度は格段に違います。ただ、このような組織のマネージャーには本格的なリーダーシップの力はつきませんので、長くこのような立場を続けさせない方がよいでしょう。はっきり言って楽なマネージャー職です。
時には、5、6人のマネージャーでもプレイングマネージャーになっているケースもあると思いますが、これは非常に危険な状態と認識すべきです。マネージャー本人にその気はあっても部下の仕事を把握する余裕がない可能性が高いと思います。リーダーシップは発揮できない、マネージャーであるがために実務も完璧にやらなくてはいけない、そのような状態では、精神的にも追いつめられます。下手をすると人材を潰しかねません。特に自分で仕事を抱え込むタイプの真面目なマネージャーは要注意です。
最後に、三つの基本条件を満たせるマネージャーの資質について述べます。最低限の基本条件とは言え、実は容易に満たせるものではありません。マネージャーには、部下の仕事に深く入り込まなくてはいけない局面に耐えられるだけの、人間的な強さが必要です。部下は仕事に関与されることを嫌がりますから。部下と密接に関わることのできる人間的な強さや魅力をもったマネージャーかどうかよく見極めながら人事を考えなくてはいけません。弱いマネージャーにはバックアップしてあげなくてはいけません。今度はマネージャーの上司が部下であるマネージャーたちに深く関与しなくてはいけないということです。
限られた人材しかいないなかで理想的な組織は組むことはできません。不完全なマネージャーを抱えざるを得ない、逆に仕事が出来るマネージャーには2つ以上の組織マネージャーを兼務してもらうなど、組織は必ず矛盾をはらんでしまうものです。これは仕方のないことです。
組織の構成員はロボットやコンピュータのようなもの正確な存在ではなく、極めて曖昧で不安定な存在であることを分かったうえで、日々悩みながら組織の編成と運営をやっていくのが現実だと思います。現場監督のマネージャーが部下に目を光らせるのと同じように、その上の上司はマネージャーたちに目を光らせていないといけません。組織だけ編成してあとはうまくいくなどと夢にも考えてはいけないことです。






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